2021年8月22日日曜日

RTX A4000購入レビュー(VRChatter目線)

タイトル通り新しいグラフィックボードとしてRTX A4000を買いました。

前書きが長いので性能はどうなの?という方はスクロールして性能を確かめるの見出しの方まで飛んでください。

買った経緯

一般のゲーム向けグラフィックボードの値段も今は少し落ち着きましたが、依然として半導体不足やら需要に対して供給が追い付いていない等の問題もあり高値の状態が続いています。VRをプレイする場合比較的ハイエンドに当たるグラフィックボードを必要とするのもあり特にVRChatにおいてはグラフィックボードのVRAM容量を要求されます。一般的な遊び方もとい平均的には8GBあればある程度安定して遊べるのですが、結構ギリギリだったりするので安定を望むのであれば10GB以上VRAMが搭載された物が欲しくなります。

そうなると選べるもので現行のものかつゲーミング用途で下限となるものではRX6700XTとRTX3060の2つになるのですが、Radeon系はVRもといUnityとの相性を考えると微妙でRTX3060だと今使っているRTX2080よりVRAM容量は増えますが、性能的には落ちてしまいます。そうなると候補になるものがRTX3080、RTX3080Ti、RTX3090の3つになり買えるのであればRTX3090ではあるのですが、デカくて消費電力が大きめということが欠点になってしまいます。性能は確かではあるのですが消費電力が大きいことで熱量も増えることも考えたら自分の求めるものを考えるとうーんとなったわけです。RTX3080はVRAMが10GBありますがそれが中途半端に思えます。RTX3080TiはVRAMは12GBあるもののRTX3090が出始めた頃の価格と同等であるというところとVRAM以外は3090同等クラスなのでそれなら3090買うよってなります。そんなこんなでRTX A4000のバルク品がオリオスペックで取り扱い開始された買うか少し悩んだのですがボーナスの勢いとRTX2080から載せ替えて消費電力減を狙おうという思惑で買ってしまいました。

届いたA4000とハマるトラブル

ここからはグラフィックボードをGPUと表記することとします。


というわけでA4000が無事に届きGPUを入れ替えて運用を始めようとしたわけなのですが、テストのためにベンチマークをしたときに異常に気付きます。

どのベンチをしてもGPUの動作クロックがいまいち上がらずGPUそのものの消費電力が60Wに収まる範囲での出力しかしていないということに気づきます。GPUの温度も先駆者達の報告から90度ぐらいまで上がるといわれていたものの70度も届かない範囲でしか動作しないのでそれも疑うに相応しい物でした。原因が何かを探るためGPUドライバーそのものの再インストール、マザーボードBIOS設定の見直し、チップセットドライバーの再インストール、OSクリーンインストール、別のPCにA4000を取り付けてテストをしたところ原因はマザーボードにあることがわかりました。めったにないであろうGPUとマザーボードの相性問題を踏み抜いてしまったわけです。ちなみにその相性を踏み抜いたのは上の写真でも写っているGIGABYTE B550 VISION Dで本来Quadro系列のGPUの動作が保証されているマザーボードでこれを踏み抜いてしまったわけですね。マジかよと思う訳でどうにかしないとまともに使えないわけで、マザーボードを新たに手配することにしました。ここで想定外の出費として約5万円が飛んでいきました。


トラブルからの脱出

半ばやけくそ気味にGIGABYTE X570S AERO Gを買いました。選んだ理由としてB550 VISION D自体は気に入ってたものの拡張性の意味で微妙差を感じたこととCPUを載せ替えるときにせっかくだしマザーも変えようとしていた時の候補がこれだったので、買うなら妥協するより自分が欲しいと思った物を買えということでこれにしました。せっかく買ったのにこいつでも相性問題踏み抜いたら地獄を見るのでツクモ交換保証を付けてツクモオンラインで本品を手配しました。

組み替えてこんな感じになりました。VISION Dよりちょっと派手な感じです。m.2SSDのヒートシンクはB550 VISION Dも結構な分厚さだったのですが、本品はそれよりも分厚く重厚なものが搭載されており驚きました。本品に組み替えてベンチマークを行ったところ今度は本来出せるパフォーマンスが出たので、使えるところまで一週間かかってしまいました。

性能を確かめる

ここからが本題です。実際の性能はどうなのか気になる人がやはり多いかと思います。
一般的なベンチマークをいくつかとVRCでの実使用に基づいてここからはレビューしていきたいと思います。動作させる環境は以下の通りです。
CPUAMD Ryzen7 3700X
CPUクーラーNoctua NH-D15 Chromax.
マザーボードGIGABYTE X570S AERO G
メモリCrucial BalistixElite DDR4-3600(3200Mhz動作)
グラフィックボードnvidia RTX A4000
SSD1Samsung 980Pro 1TB
SSD2ADATE SX8200Pro 1TB
HDD1Seagate ST4000DM004
HDD2TOSHIBA MD04ACA600
光学ドライブASUS BC-12D2HT
電源ユニットCorsail RM1000x
PCケースFractalDesign Define R5
ケースファン(前面)SilverStone AP140i x2
ケースファン(背面)FractalDesign Dynamic X2 GP-14
GPUDriverR470 U1(471.11)
OSWindows10 Pro 21H1
VRHMDValve indexフルセット+ViveTracker2018x3
以上の環境で動作テストの方を行っていきたいと思います。
グラフィック設定に関する備考として
Resizable BARはオフ
NVIDIAコントロールパネルの3D設定の管理から
バーチャルリアリティー 可変レートスーパーサンプリングを適応
バーチャルリアリティー レンダリング前フレーム数を3Dアプリケーション設定を使用という設定にします。
SteamVRの設定はレンダリング解像度100%
SteamVRの設定からモーションスムージングをオフ
4K 60fpsでの動作を想定してテストします。

ベンチマーク
・FF14暁月の終焉
・PSO2NGSベンチマーク
・3DMark Timespy/FutureStrike
・カスタムオーダーメイド3D2ベンチマーク
・ForzaHorizon4ベンチマーク
Blender Benchmark なぜか動かなかったのでやめました。Blenderは起動するのに…


FF14暁月の終焉 フルスクリーン デスクトップ(高品質) 10598

PSO2NGSベンチマーク フルスクリーンウルトラ設定 4370

カスタムオーダーメイド3D2ベンチマーク 4Kフルスクリーン 11388
Ryzen5 2400Gでも非常に快適だせるので頭打ちではある

3DMark Timespy Graphics score 10871 CPUScore 9704
3Dmark FireStrike Graphics score 28736 Phisics score 23326
ForzaHorizon4ベンチマーク Ultra4K60fps設定
ForzaHorizon4ベンチは4k60fps固定でGPU使用率50%から60%なので十分余力がありそうです。温度も高くて81度ほど

VRCでの実使用

結論から言うと極めて快適です。indexの場合SteamVRでのレンダリング解像度がデフォルトで150%になるのですが、100%に下げて使っています。
SEFETY→Performance OptionsはGraphics QualityはUltra
Multisample Antialiasing(MSAA)はX8とindexを常用するうえで十分な状態を常に引き出してくれます。気になるところとしてはCPUが主なボトルネックとなって人が多いところなどではFrametimeが増えるところ。RTX2080の時はFrametime増えても2桁台行くこととかもあまりなかったはずなのですが、A4000に載せ替え後は20ms~50msぐらいが出ることもあるようになり少し気になってますが、モニターしてるとGPU側は多くても10ms台なのに対してCPU側が20msとかで差が出てるので、Ryzen環境で完全なパフォーマンスを引き出すには5000番台のCPUが必要になるのかもしれません。
ちょうど時期的にVket6もやってるのでベンチマークついでに10数人で640MB超えで長大な企業ブース(Core)に行ったところ16GBあるVRAMを13GB使ってしまいVRAMの力を実感しました。
ワールド作成の際にBakeryというアセットを利用しRTX2000番台から利用可能なRTコアを使う形でのライトベイクを行ってるのですが、RTX2080の時よりも短時間で済むようになったので、レイトレーション機能が進化したのはかなりうれしいところ。CPUでやるよりも早く綺麗になのでBakeryを今まで以上に手放せなくなりました。

実消費電力

モニタリングにはサンワサプライのワットモニター TAP-TST8Nを使ってます。


起動後落ち着いた後のアイドル消費電力が130W台前半から140Wいかない程
ブラウザとSpotifyを立ち上げて作業時 瞬間的に150Wほどに上がってから130W台後半から140W前半で安定
TimeSpy グラフィックベンチ中で250W台後半から260W前半
FireStrike Phisics test 180W後半から190Wに収まる範囲
Comined test 250W後半から270Wに収まる範囲
VRCプレイ中は260W後半から270W台
消費電力を見る限り負荷率50%で考えるのであればこの構成で550Wぐらいの電源でも十分に動きそうです。

運用上の注意

まずは冷却をどうするかというところ。ひとつのスロットだけなので非常にスリムなボードなのですが、ファンも1つしかないのでそのままだと高負荷時には90度張り付きとかもよくあります。なので少し考えてあげる必要があるのですが、フロントファンを吸気性能が良いものに変えることでとりあえず高くても88度ぐらいという状況にできました。
温度上がっても冷えるのも割と早くファンもケースに入れてると気にならないぐらいには静かです。

2つ目の注意点はOculusSoftwereのサポート外GPUであるということ
お使いのコンピューターはアップデートされた最小要件を満たしてないと怒られる事案が発生します。怒られはしますが、普通に使えますAirlinkも問題ないですが、最小要件満たしてない警告がOculusHomeにも出てくるのでそこは鬱陶しい。Steamで買ったソフトばかりなのもありVirtualDesktopの方が個人的には使いやすい。

総評

積極的に人に勧めようとは思わないけど、使い方次第では非常にマッチするワットパフォーマンスに優れたVRChatter向けグラフィックボードだと思いました。GPUの性能としてはRTX2080と2080Superの間もしくは3060Tiと3070の間なのでゲーム用のグラフィックボードとして考えるとハイエンドの物ではないです。しかし使ってるGPUのコアは3070のクロック落とした版でVRAMが多く140Wの消費電力でワンスロットという分厚く消費電力が大きくなりがちな3000番台のグラフィックボードの中では極めて控えなところに収まってるのも魅力の一つです。お値段はQuadroに属するものなので安くなることはそうそう無いうえ高めではあるのですが…
本来クリエイターに向けたグラフィックボードで24h7Dayの運用もある程度想定されているものなので、Unity、Blenderを扱うことがあるし、VR睡眠という長時間負荷をかかる使い方をされる方もいるVRC界隈では選択肢の一つとしては良いと思います。ぶっちぎりの性能を求めるならRTX3090だけど信頼性という観点だとこっちのA4000含めたQuadro系なので、VR向けに特化した信頼性があるものをと考えるなら選ぶ意義は十分にあります。
ただ、VRC以外もゲームされることが多いという方は上のベンチの通り確かに動きはするものの最適化の類はほぼされないと思ってこのGPUを使いましょう。

2022/01/05 追記:CPU交換ついでにケース変えたりで組みなおしたのでベンチ等計測しなおし

CPUAMD Ryzen7 5800X
CPUクーラーNoctua NH-D15 Chromax.
マザーボードGIGABYTE X570S AERO G
メモリCrucial BalistixElite DDR4-3600
グラフィックボードnvidia RTX A4000
SSD1Samsung 980Pro 1TB
SSD2ADATE SX8200Pro 1TB
HDD1Seagate ST4000DM004
HDD2TOSHIBA MD04ACA600
電源ユニットFSP Hydro GSM Lite PRO 650W
PCケースFractalDesign Define 7 Compact TG
ケースファン(前面)SilverStone AP140i x2
ケースファン(背面)FractalDesign Dynamic X2 GP-12
GPUDriverR470 U6(472.47)
OSWindows10 Pro 21H1
VRHMDValve indexフルセット+ViveTracker2018x3

・FF14暁月の終焉 
・PSO2NGSベンチマーク
・3DMark Timespy/FutureStrike
・ForzaHorizon4ベンチマーク
・ForzaHorizon5ベンチマーク

FF14暁月の終焉 フルスクリーン デスクトップ(高品質) 10666

PSO2NGSベンチマーク フルスクリーンウルトラ設定 4257
3DMark Timespy Graphics score 10805 CPU Score 12166
3Dmark FireStrike Graphics score 28932 Physics Score 31410
ForzaHorizon4ベンチマーク Ultra4K60fps設定
ForzaHorizon5ベンチマーク Ultra4K60fps設定

CPUを交換した分だけ純粋にシングルスレッド分のパフォーマンスが上がったように見える。タイトルによってはGraphicsスコアに変化があるが、軽微なものでグラフィックボードの使える性能はゲーミング用途で見れば3700Xでも出せていたことがわかる

VRCでの実使用(5800X編)

シングルスレッド性能上がった分快適性が上がりました。人数が多いインスタンスでもなんとか30fps以上を安定して出せるし3700xに比べて平均fpsが14ぐらいは上がってるかも。
10数人ぐらいで話すぐらいであれば余程重いワールドでなければ60fps以上は安定しています。フレームタイム周りは人数が増えてくると伸びてくるのでCPUのパワーよりVRAMの帯域とかPCIeの帯域とかその編なんでしょうかね。Resizable-barも有効にしてますが、これはVRCではそこまで効いてる気がしない。フレームタイムが伸びても20ms~40msぐらいの感触なので3700xほどは伸びてない感触

実消費電力

ブラウザとSpotifyを立ち上げて作業時 瞬間的に180Wほどに上がってから110W台後半から120W前半で安定
VRCプレイ中は260W後半から320W台
TimeSpy グラフィックベンチ中で270W台後半から290W前半
Firestrike phisics test 170W前半から230W代で変化する
FireStrike Combined test 300W前半から330Wで重ね変化するが一瞬350Wを出したことがある。

3700Xより柔軟に変化をしピーク時の要求電力が高くなった感じである。普段の作業時は動作クロックもそこまで上がらないためか30Wほど低消費電力になった。
熱密度高いせいかCPUが熱いと評判だが上がっても80度ぐらいの感触でサーマルスロットリングも発生してない事からエアフローとか考えて上げれば空冷でもなんとかなる。

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